シンヤという名前のような名字を持つその友達は、高校のときサッカー部で一緒だった。そいつはアタマがよくてルックスもよく、サッカーもうまいし、ケンカもハンパなく強い。勉強もサッカーも点取り屋だ。高校1年のある日、そいつの出身中学に一緒に行って驚いた。学校の門を入るなり、歓声とも奇声とも聞こえる騒ぎ。「キャ〜ぁっ!シンヤさん!」「シンヤ先輩が来てるよ!」 校庭から校舎の窓から、とにかくアチコチから女のコの声が聞こえる。思わず、「おめぇ、アイドルかよ…」と苦笑いしてしまった。
とにかく周囲の注目を集めるオトコだった。夏休み、1年生だけの練習があったときにも、エピソードがある。学校のグランドが改修工事で使えず、近くの荒川の土手で練習をしていた。夕立に降られた僕たちは、橋の下に逃げ込んだ。そして、川面にはねる雨のしずくを見ながらタバコをふかしていた。雨が上がって、夕日が僕たちをオレンジ色に染める頃、そいつが突然口を開いた。「なぁ、俺たちサッカー強くなりてぇよな?」「ああ」「だったらさ、みんなでタバコやめねぇ?」「おう、いいぞ」そうして僕たちは卒業するまでタバコを吸うことはなかった。
のちにキャプテンになったシンヤは、監督もコーチもいないチームを都ベスト16まで引っ張っていった。
そのシンヤも今では父親となり、家庭のキャプテンとして闘っている。が、かつてアイドル的存在だった彼も、ご多分に漏れずデブリーマンへと成長した。残念!!
荒川土手にて
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